004進化しすぎた脳
進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)
- 作者: 池谷裕二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/19
- メディア: 新書
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脳の働きは体の構造によって決まっている. 言語は人間の特性であるが, これは様々な音が作れる咽頭を人間が持つことにより, 脳がそれをコントロールすることで獲得できた機能であるとしている. 高度な咽頭をほかの動物が持たないために, 人間以外ではサルでも言語の獲得はできないという. まさに構造こそが機能を決定しているのである.
また, 脳のあいまいな働きは表現を広げたり, 新しい発想をするために重要な働きをする. ニューロンどうしのシナプスでのやり取りに起因している. シナプスでの伝達物質の放出はある確率で行われている. 刺激を受けると100%確実に放出されるのではない. ある確率でである. しかも, 100段階程度のニューロンを通過するだけで, 思考は成り立っているとのこと.
結局これだけいろいろなことがわかっても人間の手で人間の脳は作れない. まだまだわからないことだらけであるということがわかった.
003 新しい高校生物の教科書
新しい高校生物の教科書―現代人のための高校理科 (ブルーバックス)
- 作者: 栃内新,左巻健男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/01/21
- メディア: 新書
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ミクロからマクロまで
と, 生命と取り巻く環境を全体の流れとしてうまく取り入れている. 高校の教科書とあるが, 高校の内容をでることなく, 現在考えるべき問題の内容が盛り込まれ, わかりやすく書かれている.
最初の方は細胞内での反応が書かれているが, 中学の内容を超えないように表現しなくてはいけないためか, 今一歩踏み込み足りないところがあるようにも感じる. 化学反応を極力使わないようにしている配慮はわかるが, せっかく非認可教科書であるのだから, 本当にわかる教科書にしてもよかったのではないだろうか.
それでも, この教科書の一連の流れである『問題』→『本文』→『答え』の流れは, 授業などでは当たり前でも普通の本ではあまりなく, 読者の興味をうまく引き出す組み立て方だと思う. 実際, 『問題』を読み, 自分の頭で考える過程が重要でそれを踏まえて『本文』を読みながら『答え』を探るところが楽しいと感じる.
今の教科書がI, IIと別れ内容が分断され, 一連の流れとして学べない状況でこの教科書の意義は高い.
002 まどろみ消去 - MISSING UNDER THE MISTLETOE
- 作者: 森博嗣,山田章博
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/07/14
- メディア: 文庫
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- 虚空の黙祷者
- 純白の女
- 彼女の迷宮
- 真夜中の悲鳴
- やさしい恋人へ僕から
- ミステリィ対戦の前夜
- 誰もいなくなった
- 何をするためにきたのか
- 悩める刑事
- 心の法則
- キシマ先生の静かな生活
森博嗣の短編集. ミステリィ中心だが純文学もあり, 幅の広さを感じる. ほとんどの作品でカタカナ表記での人物が登場しており, 現実感を揺さぶられ不思議な感覚でストーリーが進んでいく. 虚構であることを確認しながら, 現実とのギャップを感じていける.
『ミステリィ対戦の前夜』, 『誰もいなくなった』は西園寺萌絵のミステリィ研での活動の様子を描いたもので, S&Mシリーズの一端を垣間見させてくれている. これも, 短編集ならではの趣向である.
いたるところで, 文体の変化など様々なアイデアが試されており, 作者の力量の高さを感じる.
封印再度 -WHO INSIDE
詩的私的ジャック-JACK THE POETICAL PRIVATE
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/11/12
- メディア: 文庫
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密室トリックはいつも適度に考えさせてくれるので楽しい.
今回は難しくて, 最後までわからないところがあった. 本文にはそれと分かるように書いてあるのにそこまで考えが及ばなかった.
厳密に書かれているからこその楽しみである.
あいかわらず, ミステリィと関係ないが犀川と萌絵の関係がまた進展している. そこがまたなんとも.
今回読んで初めて気がついたが, 『那古野』は『なごや』と本来は読む. しかし、本文中ではわざと『なごの』とふりがなが振ってある.
調べてみると, 須佐之男神と奇稲田姫神が祭神となっている那古野神社が名古屋にあった.
また, 現在の名古屋城が建てられる前に織田信長が産まれた那古野城があったとのこと.
読み込めばもっと面白いことが見つかるかも知れない.
地球のなおし方
- 作者: デニス・メドウズ,枝廣淳子,ドネラ・H.メドウズ
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/07/15
- メディア: 単行本
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『成長の限界』では人類の成長がこのまま続くと, 人口問題, 資源問題などの関連からいずれ,崩壊が起こることをシミュレートしているわけだが, この本では全体の流れをどのように考えていけばよいのか, わかりやすく説明している.
世界の資源や利用可能なエネルギー源がいかに使われ過ぎているのか, どのように取り組めば持続可能な社会になるのか. 成長の限界で用いたWord3の結果を用いて10個のシナリオを提示している.
結局,
- 人口
- 食料
- 再生可能な資源(土壌,水, 木材, 魚)
- 資源(石油, 石炭, 天然ガス, 鉄・銅・アルミニウム・希少鉱物)
を, 技術開発することや, リサイクル(これも技術だが)をすることで, 地球がまかなえる範囲で調節することが必要である.
さらに, 時間的な余裕が無いこともこの本では時間軸をずらすことで示している.
何が正しくて, 何が間違っているのかわからないが, やれることはやっておいた方がよいのは間違いないだろう.
笑わない数学者
笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/07/15
- メディア: 文庫
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トリックがわかりやすく示してあったので, ストーリーに専念した.
内容があまり書けないので, このあたりにしておくが, 犀川と萌絵との間の関係が本当に気になる.
まったく, ミステリィとは関係の無いところで気になるところがこのシリーズのずるいところだ.